# Agent Channel のチャットが到達できる範囲

[Agent Channel](/ja/products/ai-studio/agent-channels) 経由で作られたチャットは、2点を除けば通常の Treasure AI Studio のチャットです。1つは、作業領域がチャットごとに破棄され、参照できるのは共有作業フォルダ1つだけで、それも読み取り専用であること。もう1つは、外部から送れる指示が「プロンプトを送る」と「停止する」の2つしかないことです。それ以外 — モデル、ツール、コネクション、クレジット — はすべて実行者のもので、実行者が自分でチャットを始めた場合とまったく同じです。

自社で管理していないユーザーが使うアプリケーションにチャネルを開放する前に、このページを読んでください。境界の両面を説明します。チャネルのチャットが**できないこと**と、**制限されていないこと**の両方です。

## 作業領域は共有フォルダ1つ、読み取り専用、チャットごとに破棄

チャネルのチャットは、SDK App の共有作業フォルダの中で作業します。エージェントはその中のすべてのファイルを読めますが、どれも変更できません。あわせて、作業中に作るファイルを置くための書き込み可能な領域が用意されます。

| 対象  | チャネルのチャットでの扱い  |
|  --- | --- |
| **共有作業フォルダ** | 読み取り専用。メンバーが Treasure AI Studio 経由で置いたファイルはエージェントから見えますが、エージェントの操作でそれらが変わることはありません |
| **一時領域** | チャットの作業領域内にある書き込み可能な領域。チャットとともに作られ、チャットが破棄されるときに削除されます。ここに書いたものは次のチャットには引き継がれません |
| **実行者の他の作業フォルダ** | 参照できません。チャネルのチャットが到達するフォルダは1つだけです |
| **実行者の個人設定と履歴** | 参照できません。実行者自身の設定、保存されたメモリ、Studio でのチャットの記録は作業領域に存在しません |
| **アカウントが管理する設定** | 読み取り専用で参照できます — アカウント自身の設定とインストール済みプラグインは、通常のチャットと同じように読み込まれます |


実務上の帰結は、チャネルのチャットには会話をまたぐ記憶がないということです。どのチャットもフォルダの現在の内容から始まり、残す価値のあるものは会話自体を通じて返す必要があります。セッションをまたぐ継続性がアプリケーションに必要なら、アプリケーション側で保持してください。チャット ID と Chat Access Token はすでに保存しているので、[既存のチャットを再開する](/ja/products/ai-studio/agent-channels/building-an-app#%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%8C%E6%8C%81%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BC%9A%E8%A9%B1%E3%82%92%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E3%81%99%E3%82%8B)ことで同じ会話を続けられます。

## アプリケーションが送れるもの

エージェントに届く操作は、意図的に次の2つだけに絞ってあります。

- **プロンプト** — ユーザーメッセージ1件。これが1回のターンを開始します。
- **停止** — 実行中のターンを終了します。


Treasure AI Studio の内部チャットプロトコルには、これ以外の操作もあります。セッションの再起動や巻き戻し、モデルなどのセッションオプションの変更、プラグインの追加やインストールです。これらはチャネル経由では実行できません。設定で禁止しているのではなく、ゲートウェイが対応するプロトコルにそもそも含まれていないため、アプリケーションのエンドユーザーには送る手段がありません。

アプリケーションが送れるものは、もう1つあります。指示ではなく、エージェントからの質問への回答です。エージェントがユーザーに質問するために処理をいったん止めたとき、アプリケーションはその答えをツールの実行結果として返します。[エージェントの質問に答える](/ja/products/ai-studio/agent-channels/building-an-app#%E5%AE%9F%E8%A3%85%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E5%94%AF%E4%B8%80%E3%81%AE%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB)で扱います。

## アプリケーションが受け取るもの

ゲートウェイは、明示的に指定したイベントだけを転送し、それ以外はすべて破棄します。あとから内部プロトコルに追加されたものも同様に破棄されます。

クライアントが受け取るのは次のものです。

- アシスタントのテキスト (ストリーミング)
- エージェントの思考 (ストリーミング)
- ツール呼び出し — ツール名とその引数
- エージェントがユーザーにする質問
- ターンの終了 (失敗した場合を含む)


受け取らないものが2つあり、どちらもクライアントの作り方に影響します。

- **ツールの出力。** ツールが動いたことと、その引数までは見えますが、何を返したかは見えません。
- **ターンが失敗した理由。** 失敗は、決められたカテゴリのいずれかが固定の文面で届き、その背後にある理由はプラットフォームの中に留まります。エラー処理は「ターンが失敗した」という事実に対して組み、メッセージの解析に頼らないでください。


ツール呼び出しは実行済みの状態で届くので、クライアントは表示するだけで、その裏側に実装は必要ありません。

## 制限されていないもの

チャネルのチャットは**実行者にできることをすべて引き継いだまま**動きます。それを狭めるチャネル単位の設定は存在しません。公開アプリケーションをチャネルに向けようとしているなら、ここはとくに注意して読んでください。

- **ツール。** 通常のチャットと同じツールが使えます。クエリの実行や、サンドボックス内でのコード実行も含みます。
- **コネクションと資格情報。** 実行者が設定した[コネクション](/ja/products/ai-studio/connections/)はすべてチャットから利用でき、実行者の資格情報が使われます。
- **プラグインとスキル。** アカウントのインストール済みプラグイン、フォルダのスキルとアクションが通常どおり読み込まれます。
- **モデル。** アカウントで設定されたモデルティアが使われます。アプリケーションから選ぶことはできず、チャネル単位で固定することもできません。


Agent Channel が制限しているのは、**作業領域と、外部から送れる操作の範囲**だけで、エージェントにできること自体を制限しているわけではありません。チャネルは、呼び出し側に「チャネルのフォルダに対する実行者の到達範囲」を与えるものと考え、実行者はそれを前提に選んでください。アプリケーションを使える相手に対して、そのコネクションと権限を開いてもよいと判断できるユーザーが適切です。

チャネルを運用するうえでは、次の2点に注意してください。

- **チャネル経由で届くプロンプトは信頼できない入力です。** アプリケーションのユーザーから来て、実際の資格情報を持つエージェントに届きます。プロンプトを転送する前に、自社のプロダクトに必要な確認を行ってください。Treasure AI Studio が一般にプロンプトとデータをどう扱うかは[セキュリティ概要](/ja/products/ai-studio/security/)を参照してください。
- **狭めるべきはチャネルではなく実行者のアクセス範囲です。** チャネルが実行者を狭められないため、調整できるのは実行者を誰にするかだけです。実行者のコネクションが少なければ、チャネルの到達範囲もそれだけ狭くなります。


## クレジット、帰属、監査

チャネルのチャットが行うことはすべて**実行者**に帰属します。

| 観点  | 帰属先  |
|  --- | --- |
| **クレジットとクォータ** | 実行者。チャネルのチャットは実行者自身のチャットと同じように使用量を消費します — [クレジット使用量](/ja/products/ai-studio/credits/credit-usage)を参照 |
| **権限** | 実行者の権限。リクエストごとに評価されます。実行者がそのフォルダの割り当てを失うと、チャネルは接続を受け付けなくなります |
| **チャットの所有者** | 実行者。チャットは実行者自身のチャット一覧に表示され、**SDK App** というラベルとチャットアイコンの鍵のマークが付きます |
| **データの保持** | アカウントの通常のチャット保持ポリシー — [チャットデータの保持](/ja/products/ai-studio/security/data-retention)を参照 |


サイドバーの最近のチャット。タイトルの上に SDK App というラベルが付き、チャットアイコンに小さな鍵のマークがあるチャットが表示されている
どのエンドユーザーがそのチャットを開始したかは、Treasure AI Studio には記録されません。そのユーザーを識別する情報を持っていないためです。自社の監査でこの対応付けが必要なら、チャットを作成した時点で、アプリケーション側でチャット ID に紐づけて保存してください。

## 制限値

| 項目  | 既定値  |
|  --- | --- |
| **チャットの作成** | SDK App あたり毎分30件。チャネルのすべてのトークンを合算して数えるため、トークンをローテーションしても上限は増えません |
| **ターン** | チャットあたり毎分120回 |
| **1チャット内の同時実行** | 1つ。チャットは一度に1つのターンだけ実行します |
| **Chat Access Token のアイドル期限** | 未使用のまま24時間。使用すると延長されます |
| **Chat Access Token の絶対期限** | 発行から30日。使用状況にかかわらず延長されません |
| **ターンの実行時間** | 上限として1時間。実際にはそれよりはるかに前に終わります |
| **リクエストボディ** | メッセージング用エンドポイントへの1リクエストあたり32 MB。1メッセージの上限は1 MB |


レート制限を超えると `429` と `Retry-After` ヘッダーが返ります。2つのトークン期限は SDK App ごとに設定できます。それ以外はプラットフォーム全体の値です。

## チャネルが停止したときに起きること

SDK App の停止、Gateway Token の無効化、実行者から降りる操作、チャネルの削除は、いずれも新しいリクエストを直ちに拒否します。そのチャネルのどの資格情報を使っても、次のリクエストは拒否されます。

すでに存在するチャットは削除されません。実行者のチャット一覧に残り、通常のチャット保持ポリシーの対象になります。進行中の会話は接続を失います。使っていた Chat Access Token が検証を通らなくなるためです。エージェントが実行中だったターンはこれによってキャンセルされないので、処理中だったものはサーバー側で完了します。どの操作が何を止めるかは [Gateway Token と Chat Access Token](/ja/products/ai-studio/agent-channels/tokens#%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%84%A1%E5%8A%B9%E5%8C%96)で扱います。

## 次のステップ

- [SDK App の作成と管理](/ja/products/ai-studio/agent-channels/sdk-apps) — チャネルを設定し、実行者を選ぶ
- [Gateway Token と Chat Access Token](/ja/products/ai-studio/agent-channels/tokens) — 資格情報とその有効期間
- [Vercel AI SDK でチャットアプリを作る](/ja/products/ai-studio/agent-channels/building-an-app) — チャットを動かすアプリケーションの実装
- [セキュリティ概要](/ja/products/ai-studio/security/) — Treasure AI Studio が一般にデータをどう隔離し扱うか