Agent Channel は、Treasure AI Studio の外部にあるソフトウェアから Studio のチャットを実行させるための、統制された入口です。エージェントを自作したり、モデルをホストしたり、誰かにログインを渡したりすることなく、チームが Studio で話しているのと同じエージェント — 同じ共有作業フォルダを参照し、同じ権限で動くエージェント — をアプリケーションに組み込めます。自社のプロダクトに、自社のデータに基づいた会話が必要になったときに設定してください。サポートウィジェット、社内ツール、顧客向けアシスタントなどが対象です。
このページでは、Agent Channel とは何か、作成時に何が固定されるのか、リクエストがアプリケーションから回答に至るまでどう流れるのかを説明します。配下のページでは、作成手順、関係する資格情報、アプリケーション自体の実装を扱います。
Agent Channel は、アカウント単位で作る設定に名前を付けたもので、次の3つを結びつけます。チャットが参照する共有作業フォルダ1つ、チャットがその権限とクレジットで動く実行者1人、そしてアプリケーションが認証に使う1つ以上の接続用シークレットです。チャネル経由で届くチャットは必ずこの組み合わせになり、これを変えるリクエストパラメータは存在しません。
フォルダと実行者をシークレット側ではなくチャネル側に固定しているのが、このチャネルを統制可能にしている点です。シークレットは、誰かがすでに同意した取り決めを使うための鍵にすぎません。そのためシークレットを追加発行しても新しい権限は生まれず、ローテーションによってチャネルの到達範囲が気づかないうちに広がることもありません。
Agent Channel の種類は SDK App の1つだけです。自社でホストするアプリケーション向けの入口で、自前のサーバーからチャットを作成し、そのユーザーにストリーミングします。
アプリケーションが Treasure AI Studio の内部 API を呼ぶことはありません。呼ぶ相手は Agent Gateway です。Vercel AI SDK の UI Message Stream プロトコルに対応しているので、OSS のクライアントに手を加えることなく、そのままチャットを動かせます。
処理は次の4段階で進みます。
- サーバーがチャットを作成します。 チャネルの長期的な接続用シークレットである Gateway Token を使って Agent Gateway を呼びます。
- ゲートウェイが Chat Access Token と接続先 URL 一式を返します。 このトークンはそのチャット1つにスコープされており、他には何も許可しません。
- ターンはその接続先に対して行われ、Server-Sent Events としてストリーミングされます。サーバーが中継しても、クライアントがゲートウェイを直接呼んでもかまいません。
- エージェントはチャネルの共有作業フォルダの中で作業します。 実行者の権限でフォルダを読み、回答は同じ経路でストリーミングされます。
資格情報が2つあるのは、2つ目はブラウザに渡しても安全で、1つ目はそうではないからです。それぞれが何を許可し、どれだけ有効なのかは Gateway Token と Chat Access Token で説明します。
チャネルの公開範囲を決める設定は、作成時に、その権限を持つ人が一度だけ行います。
| 固定されるもの | 意味 |
|---|---|
| 共有作業フォルダ | このチャネルのチャットが参照できる唯一のフォルダ。作成者が manage 権限を持つフォルダから選び、あとから変更できません — 別のフォルダが必要なら別の SDK App になります |
| 実行者 | チャットがその人として動く Treasure AI Studio のユーザー。最初は必ず作成者で、あとから同じフォルダの別の管理者が引き継げます。権限・コネクション・クレジット・監査の記録はすべて実行者に従います — チャットを開始したエンドユーザーには紐づきません |
| ブラウザアクセス | Origin ヘッダーを伴う呼び出しをゲートウェイが受け付けるかどうか。既定はオフで、その場合はサーバーからしかチャットを操作できません |
| Chat Access Token の有効期間 | チャットごとの資格情報が未使用のまま有効である時間と、その絶対上限。既定は24時間と30日です |
これらがチャネル側に固定されているため、アプリケーションのエンドユーザーが別のフォルダを参照したり、他人の権限を借りたり、自分のアクセス範囲を広げたりする手段はありません。できるのはプロンプトの送信と、実行中の回答の停止です。制限されていない部分も含めた境界の全体は Agent Channel のチャットが到達できる範囲にまとめています。
Agent Channels は、Web 版と Desktop 版の Treasure AI Studio の設定に、独立したセクションとして用意されています。設定 → エージェントチャネルを開くと、アカウントのチャネル一覧が表示されます。
チャネルが存在すること、その名前とステータスは、アカウントのすべてのメンバーが確認できます。参照先のフォルダ、実行者、接続設定、トークンは、そのフォルダの管理者、チャネルの実行者、アカウント管理者にのみ表示され、それ以外のメンバーにはマスクされます。画面の詳細は SDK App の作成と管理で扱います。
チャネルの設定には最大3つのロールが関わります。1人が複数を兼ねることも多くあります。
| ロール | 責任範囲 |
|---|---|
| フォルダの管理者 (manager) | SDK App を作成し、フォルダを選び、接続用シークレットを発行・無効化し、チャネルを削除します。フォルダを外部アプリケーションに開放するのはこの人の判断なので、取り消せない操作はこのロールに残されています |
| 実行者 | 自分の権限とコストでチャットが動くことに同意する人。実行者を引き受けることでその役に就き、いつでも降りられます。降りるとチャネルは停止しますが、チャネルとトークンは残ります |
| アカウント管理者 | アカウント内のすべてのチャネルを閲覧でき、チャネルの停止と再開と、チャネルを作成できるユーザーの設定ができます。アカウント管理者であることだけでは、チャネルの作成・編集・削除とトークンの無効化はできません — 管理者がチャネルに対して行える操作は、設計上すべて取り消せるものに限られています |
フォルダの管理者がチャネルを作成できるかどうかは、アカウントの作成ポリシーによります。既定ではどのフォルダ管理者でも作成でき、アカウント管理者が作成をアカウント管理者だけに限定することもできます。Agent Channels を作成できるユーザーを設定するを参照してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チャネルの種類 | SDK App の1種類。1チャネルにつき共有作業フォルダ1つ、固定の実行者として動作します |
| プロトコル | Vercel AI SDK の UI Message Stream。Agent Gateway がチャットクライアント向けに公開する唯一のプロトコルです |
| チャネル単位のツール・資格情報の制限 | ありません。チャネルのチャットは実行者のツール・コネクション・資格情報を一式そのまま使います — Agent Channel のチャットが到達できる範囲を参照してください |
アプリケーションのユーザーに Treasure AI Studio のアカウントは必要ですか? 必要ありません。Agent Channel は、Treasure AI Studio のアカウントを持たない人が、自社のアプリケーションを通じてエージェントを使えるようにするための仕組みです。自社のユーザーを特定し、そのうち誰がチャットを開始できるかを決めるのはアプリケーション側の役目です。
このチャットは誰のクレジットを消費しますか? 実行者のクレジットです。チャネル経由で作られたチャットは、権限・コネクション・クォータ・コストのすべてが実行者に帰属します。どのエンドユーザーが開始したかは関係ありません。使用量の見積もりでは、ヘビーユーザー1人分として扱ってください。
1つの SDK App を2つのアプリケーションで共用できますか? Gateway Token を共用すれば可能ですが、通常は推奨しません。チャネルは停止・削除・監査の単位なので、2つのアプリケーションで共用すると片方だけを止められなくなります。アプリケーションごとに SDK App を1つ作り、それぞれに専用のトークンを渡してください。
Agent Channel は共有作業フォルダに書き込めますか? 書き込めません。チャネルのチャットはフォルダを読み取り専用で参照し、各チャットが書き込む一時領域はチャット終了時に破棄されます。エージェントが作成したものは、会話の中で返すしかありません。
このチャットは Treasure AI Studio 上で見られますか? 実行者自身のチャット一覧に表示され、アプリ内で開始したチャットと区別できるよう SDK App というラベルが付き、チャットのアイコンに鍵のマークが表示されます。